かつてアルマジロと呼ばれた私 ~第1話~
私は、泥沼に住んでいた。
私の住む村はぬかるみで足を取られ、まともに歩くことができないほどひどい沼地にあった。
そこに住む者は皆、手足を使い四足歩行でその沼を移動していた。
もちろん私もそれに従い四速歩行で移動することに何の疑問も抱かなかった。
小学校に上がるくらいの時私は革新的な移動手段を思いついた。
「でんぐり返し」だ。
でんぐり返しは四速歩行に比べ、地面に接する体の面積が広いため体重が分散され
沈みにくく、より効率的に長距離を移動するのに適していた。
大人たちは初めて見るこの移動手段を笑っていたが、10日も過ぎればまわりの人々は皆でんぐり返しをしていた。
そんな他愛もない日常を送っていたある日、私は中学校の交換留学で
アンデス地方の先住民族であるケチュア族の元にホームステイをする事になった。
ケチュア族とは、かつてインカ帝国を興したことで知られる民族で、
ペルー、エクアドル、ボリビア、チリ、コロンビア、アルゼンチンあたりに居住している民族だ。
アンデス山脈には多くの世界遺産が存在し、有名なマチュ・ピチュ遺跡などもそのひとつだ。
私がホームステイした村はアンデス地方の山岳地帯に位置し、赤道直下の乾燥した気候であった。
私は地元のノリででんぐり返しで学校に通っていた。
当然地面は沼ではなく硬い砂利が一面に広がる荒野だ。
私の背中は傷だらけになり、次第に皮膚は硬くなっていた。
惜しくもホームステイが終わり背中も治った。
帰路につく飛行機の中で私はある異変に気がついた。
第2話に続く
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